『いくお〜る』誌上の「図書紹介」がウェブにも登場しました! ここでは聴覚障害関連の書籍をご案内しております。

日本語字幕付きのDVD(ビデオ)、聴覚障害者役が出ている作品も少しずつご紹介します。

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BOOK

4月号(No.78)掲載

2月号(No.77)掲載

10月号(No.75)掲載

8月号(No.74)掲載

6月号(No.73)掲載

4月号(No.72)掲載

2月号(No.71)掲載

12月号(No.70)掲載

10月号(No.69)掲載

8月号(No.68)掲載

6月号(No.67)掲載

DVD

ろう者役のある作品

日本語字幕付き作品

 2008年4月号(No.78)掲載
人工内耳とコミュニケーション 人工内耳とコミュニケーション
黒田生子/著 254頁/ミネルヴァ書房 1,890円

 これまで人工内耳については、あまりにも聞こえる側からの視点が中心になっていなかっただろうか。本書は臨床の現場にいる著者が、二人の中途失聴の成人女性と小児二人との対話を中心に、当事者にとって「聞こえにくさとともに生きる」とはどういうことかをとらえ、考察を加えている。
 視覚的な情報保障だけでは全面的に解決できない問題も提示されている。聴覚的経験から導かれる情動的な意義もある。「聴こえる人になりたい」とAちゃんに言わせたものは何か。当事者の選択を後押しし、日常の足場から臨床の展開に配慮しようとする著者の視点は温かい。(O)

手話と法律・裁判ハンドブック 手話と法律・裁判ハンドブック
全国手話通訳問題研究会宮城県支部/企画
田門浩/監修 126頁/生活書院 1,575円

 本書は司法関係の手話をまとめたもの。第一部で法律・裁判に関する手話を分かりやすいイラストで176単語説明。第二部で、司法通訳を行う上で役立つ知識や事例が30頁以上に渡って紹介されている。補章では2009年5月までに始まる裁判員制度の概要について、10頁以上に渡って説明している。第二部、補章ともろう者である田門浩弁護士によりまとめられている。
 これまで全く縁のなかった司法の世界が、読んだ後には身近に感じられるのが不思議だ。裁判員制度の開始を前に、手話通訳者や関係者はぜひ読んでおきたい一冊。(NA)

手話通訳なるほど講座 手話通訳なるほど講座
市川恵美子/著 全国手話通訳問題研究会/編
123頁/クリエイツかもがわ 1,200円

 著者は全国手話通訳問題研究会運営委員長。本書は研究会の講座や機関誌「手話通訳問題研究」に連載された原稿等からまとめたもの。手話通訳の考え方、表現の技術などについて、著者の40年の経験から得たコツを、連続写真も交えて説明している。やや専門的な内容もあるが、話し言葉でまとめられているので大変わかりやすい。
 「通訳者の仕事は、内容が伝わってなんぼ!!」という主張は明快だ。通訳者だけでなく、中途失聴難聴者が、手話表現の基本的な考え方を学習するのにも適した「ナルホド!」な内容だ。オススメ。(O)

新しい手話2008 新しい手話2008
財団法人 全日本ろうあ連盟出版局/編
103頁/全日ろう連出版局 800円

 皆さん「目に余る」「オンデマンド」「惨め」を手話でどう表しているだろうか?
 社会の移り変わりとともに新しい言葉、新しい単語が必要になってくる。新しく生まれた言葉がどう育っていくかは、それを使う人々に委ねられる。本書は索引項目191単語を掲載。日本手話研究所が必要に迫られて新しく創作した手話や新たに確定した手話について、動きのイラスト、意味や情報を加えて説明している。今回演劇用語の手話を一章分設けているのは、ろう者大会等で必要とされているからだろうか。毎年発行が楽しみな本だ。(MI)

よい聞こえのために よい聞こえのために
クラウス・エルバリング/キーステン・ヴォースー/著
加我君孝/監修 143頁/海文堂 1,890円

 本書は現在補聴器を使っている方や、これから補聴器の購入を考えている方のための解説書となっている。本書の前半部は、主に「聞こえの仕組み」。音はどのように脳まで伝わるかなどが詳しく解説されている。
 後半は「難聴」の状態や「補聴器の仕組み」について書かれている。難聴の種類や日常生活への影響、補聴器の種類やその構成、補聴器使用のメリットやその限界など、やや専門的な内容も多い。原書は2005年、デンマークで刊行され各国で翻訳。聞こえや補聴器について詳しく知りたいという方にとっても有用な内容になっている。(N)

手話ソング集 千の風になって 手話ソング集 千の風になって ほか
小椋英子/監修 127頁/NHK出版 1,680円

 NHKみんなの手話の現講師、小椋英子氏監修。「涙そうそう(大橋ひろえ)」、「夢で逢えたら(RIMI)」などの名曲14曲を、手話アーティスト5人が表現し、手話のイラストが歌詞とともに掲載されている。といっても歌詞の一語一語に手話単語をあてはめる日本語対応手話ではなく、日本語の意味をとらえてそれにあった手話表現を選んでいる。全体にわかりやすいイラストだが、表情の動きなどを伝えるためには写真の方が良かったかも。多少価格は上がっても、手話映像付きのDVDなどがあると、更に楽しめたのではないだろうか。(N)

私の耳は海 私の耳は海
花古寺蛙鳴/著 159頁/文芸社 945円

 41歳で聴力を喪失した中途失聴の著者が、過去の詩作から62編を選んで掲載。耳鳴りとともに襲った「音楽する耳」が著者を哲学者にした。聴力を回復する薬がどこかにないか、と探し求め、「俺の運命をいたずらする奴は誰だ」、と詩作に自分を見つめる。要約筆記等の情報保障も「健聴者のお情けにすがること」ではないか、とあまりよしとせず、手話サークルでは、多弁なろうあ者にも聴者にもなれない中途失聴のか弱い立場に気落ちする。本音の連続だが、持って行く場のなかった中途失聴者の心理を、文芸作品に昇華させた貴重な一編。(O)

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